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ミスティック・リバー(2003 アメリカ)

ジミー,ショーン,デイブは悪ガキ遊び仲間だったが,デイブが誘拐虐待されてから縁が薄くなってしまった.25年後のある日,デイブは血まみれで帰宅するが何があったのか妻にも話そうとしない.同じ時間にジミーの最愛の娘が殺されるという事件が発生し,捜査を担当するのは刑事のショーンになった.しかし怒りに燃えるジミーは町のゴロツキを使って独自に犯人を探し,娘の復讐を果たそうとする.ショーンが捜査を進めていくうちに,事件当日の不審点が多いデイブが容疑者として浮かび上がっきた…という話.

殺人事件の周辺で苦悩を抱える人間たちの係わり合いを描いたドラマです.
幼いときの虐待がトラウマになった男,最愛の娘を失った父親,妻と別れて暮らしている夫と,登場人物は何かしら大きな悩みを持っています.苦しみ,悲しみ,怒り,寂しさなどいろいろな感情が表現されていて,心がとても揺さぶられました.とくにジミーとデイブの2人には,それぞれの苦しみは違うものだけれども,どちらにも共感できるところがあって印象的です.
それぞれの性格,生い立ち,事象,偶然などが見事に食い違って噛み合い,最悪の展開をしていくところが悲しく切ないです.あと少し何かが違っていれば全く違う結果になる,そんな“たられば”を正当化したくなりました.
それにしても殺人事件の顛末があまりに不条理で,周りのドラマに比べて安く感じられるのも皮肉っぽくていいです.
重くて暗い内容ですが,それだけの見ごたえは十分あったと思います.

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コメント

はじめまして
グロリアに続いて、TBさせていただきました。
ショーン・ペンの娘を殺した犯人が分かった時、なんだかがっくりきました。意外すぎて。
ただ、因縁を感じさせますね。あの家庭では確かに暴力が受け継がれてしまっているようで怖かったです。

投稿: loth | 2005/05/09 01:03

いらっしゃいませ.コメントありがとうございます.
これらの件については書きにくいので,以下ネタバレで書きます.

たまたま車が止められて銃の暴発によって殺された,というのでは推理物を期待しているとあっけにとられてしまいますよね.レイの息子たちはレイが殺されたことに気づいていないはずなのに,“偶然”レイの息子がジミーの娘を殺すことになってしまった.過去の因縁が図らずもジミーに返ってきたわけで,それだけ業の深さが表れているように思いました.

暴力の継承ですが,確かにそれまでのジミーは恐ろしい存在でしたが,わたしは希望はあると思っています.ジミーはデイブを殺すことによって娘の復讐を考えなくなり,レイ・ジュニアへの報復はおそらくなくなったでしょう.デイブの息子はデイブが殺されたことを知ることはないだろうし,おそらく復讐はしないでしょう.そしてジミーは無関係の人間を殺してしまったという罪業に打ちのめされています.娘たちは普通の女の子に育てられているみたいだし,現在のジミーもまたデイブとともにミスティック・リバーに流されて,生まれ変わるような気がします.

そしてジミーに妻が言う“王様の論理”ですが,実は“王様”以外にも当てはまる方便ですよね.デイブの妻は誤った判断をしてしまったけれど,彼女もまた過去を悔いて朽ちていってはならず,息子のために生き続けなければならない.ジミーの妻はデイブの妻を弱い人間と言いましたが,夫を探すのをやめ息子に手を振った彼女は,その瞬間から強い人間になったんじゃないでしょうか.

いろいろ解釈できる面白い映画ですね.

投稿: ふそう | 2005/05/09 14:00

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